ダイオウイカの味は本当にまずい?強烈アンモニア臭の真相と実食レビュー

ダイオウイカの味は本当にまずい?強烈アンモニア臭の真相と実食レビューとは一体何なのか? 主要なファクトを簡潔に解説します。

ネット上のコミュニティでは時折、「昔のアメリカオオアカイカ(ペルーイカ)もアンモニア臭かったが、消臭加工技術で今やフライや駄菓子として美味しく食べられている。ダイオウイカも脱臭処理を施せば名物料理になるのではないか」という楽観論が散見されます。しかし、ここには食品加工技術と生物組織の物理的特性に関する大きな盲点が存在します。

業務用のイカフライや酢漬けに使われるアメリカオオアカイカの場合、アンモニア分は含まれるものの、筋肉繊維が密で強靭であるため、酸(クエン酸など)に浸漬して中和し、大量の水で洗浄・脱水しても身が崩れません。これにより、不快成分のみを溶出させて弾力ある身を残す加工が成り立っています。

対照的にダイオウイカの筋肉は、浮力保持のために組織の密度が非常に低く、スカスカで大量の水分を抱え込んでいます。もしアンモニアを完全に抜こうとして数日間にわたり流水に晒し、クエン酸で中和する脱塩処理を試みると、以下のような致命的な崩壊が起こります。

  1. 旨味成分の全損:アンモニア臭が抜けるのと同時に、わずかに残っていた遊離アミノ酸やグルタミン酸などの旨味成分がすべて水中に流出する。
  2. 肉質のゼリー化・融解:塩分とアンモニアが抜けた身は自らの重みを支えられなくなり、ふやけた寒天や紙粘土のようにドロドロに崩壊してしまう。
  3. 残る無味無臭のスポンジ:仮に水気を絞って油で揚げたとしても、旨味も甘みも一切ない「ただ油を吸った繊維の塊」にしかならず、食用肉としての魅力が皆無となる。

過去に一部の水産加工技術者が試験的に佃煮や燻製への加工を試みた経緯もありますが、濃い醤油や香辛料で煮込んでも中心部の薬品臭をマスキングし切ることはできず、商業ベースでの実用化は完全に断念されています。

中村 さくら

中村 さくら

マネー&キャリアエディター

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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