江戸の超絶技巧「万年時計」の全貌!1度巻きで1年動く謎と復元の真相
江戸の超絶技巧「万年時計」の全貌!1度巻きで1年動く謎と復元の真相にまつわる最新トピックを分かりやすく発信ます。
日本における機械式時計は、16世紀にフランシスコ・ザビエルら西洋の宣教師によってもたらされたものが起源です。しかし、日本には古来から「日の出」と「日の入り」を基準に昼と夜をそれぞれ6等分する「不定時法」という独特の時間概念が存在しました。季節によって昼夜の長さが毎日変化するため、均等に24時間を刻む西洋式の時計をそのまま使うことができませんでした。
そこで日本の職人たちは、独自の改良を重ねて「和時計」という特殊な時計体系を発達させます。昼用と夜用でテンポを変える「二挺天秤(にちょうてんびん)」や、季節ごとに文字盤の駒を手動で動かす「割駒式(わりごましき)」などが生み出されましたが、いずれも人間の定期的な調整や手入れが前提でした。
田中久重の万年時計が和時計の歴史において頂点とされる決定的な理由は、「不定時法による文字盤の間隔調整を、歯車機構だけで完全に自動化した点」にあります。1年を通じた昼夜の伸縮パターンをカムと特殊歯車に記憶させ、毎日ミリ単位で文字盤の駒を押し広げたり狭めたりする自動補正機構を完成させました。和時計が到達した最初にして最後の究極形が、まさにこの万年時計だったのです。