ビリー・ジョエル『オネスティ』日本で異例の愛され続ける真相と制作秘話
ビリー・ジョエル『オネスティ』日本で異例の愛され続ける真相と制作秘話にまつわる最新トピックを詳しく紐解きます。
ビリー・ジョエルの母国アメリカにおいて、『オネスティ』は決して彼の最大のヒット曲という位置づけではありません。全米シングルチャート(Billboard Hot 100)での最高位は24位。アメリカのファンにとっては『ピアノ・マン』『アップタウン・ガール』『素顔のままで(Just the Way You Are)』などのメガヒット曲の陰に隠れた、アルバムの中の佳曲という受け止め方が一般的でした。
対照的に、日本ではシングルとしてリリースされるや否や爆発的なセールスを記録。オリコン洋楽シングルチャートの上位を席巻し、日本国内におけるビリー・ジョエルの人気を決定づける代表曲となりました。
この極端な日米の温度差が生まれた最大の要因は、日本人の音楽的琴線に触れるメロディ構造にあります。哀愁を帯びたマイナーコード(短調)からサビで劇的に展開し、切々とエモーションを高めていくピアノ・バラードの作風は、日本の歌謡曲や演歌にも通じる「詫び寂び」や「哀感」の美意識と完璧に一致していました。
さらに、大ヒットを決定づけたのがテレビCMとの強力な結びつきです。1970年代末から1980年代にかけて、ネスレ(ネスカフェ ゴールドブレンド)をはじめとする洗練された企業のテレビCMソングとして起用され、毎日のようにお茶の間のテレビからこの美しい旋律が流れました。映像とともに記憶に刷り込まれたビリーの歌声は、単なる洋楽の一曲を超え、日本人の共通体験として心深くに定着していったのです。