朝ドラ『カーネーション』が今も歴代最高傑作と称賛される理由
朝ドラ『カーネーション』が今も歴代最高傑作と称賛される理由の全体像を丁寧に掘り下げてご紹介します。
『カーネーション』が放送界やドラマファンの間で「朝ドラの最高傑作」と称される背景には、それまでの連続テレビ小説が持っていた記号的なお約束を徹底的に解体し、生々しい人間の生命力を描き切った点にあります。
脚本を担当した渡辺あや氏は、映画『ジョゼと虎と魚たち』や『メゾン・ド・ヒミコ』などで知られる気鋭の脚本家です。NHK大阪放送局が手がけた本作において、渡辺氏は朝ドラ特有の過度な善人化やご都合主義を徹底して排除しました。ヒロイン・小原糸子は決して清廉潔白な聖女ではなく、口が悪く、強情で、怒鳴り散らし、時には他者と激しく衝突しながら泥臭く生き抜く一人の人間として造形されています。
主演を務めた尾野真千子氏の演技に対する評判は極めて高く、オーディションで約1,850人の中から選ばれたその実力は、第1週から最終盤まで画面越しに凄まじい熱量を放ち続けました。だんじり祭りに情熱を注ぎ、ミシン一台で洋裁の世界を切り拓いていく糸子の喜怒哀楽は、視聴者を圧倒的な引力で物語へ引き込みました。