名作『グランド・ブダペスト・ホテル』絶賛の理由と切ない結末の真相を徹底解剖
今注目を集めている 名作『グランド・ブダペスト・ホテル』絶賛の理由と切ない結末の真相を徹底解剖について、主要な情報を分かりやすく掲載しています。
物語のクライマックスにおいて、マダムD殺害の真犯人は息子ドミトリーの息がかかった冷酷な殺し屋ジョプリング(ウィレム・デフォー)であったことが判明します。さらに、殺害された執事セルジュが命がけで隠した「マダムDの第二の遺言書」が発見され、彼女の全財産およびグランド・ブダペスト・ホテルの所有権は正当な後継者であるグスタヴへと渡ることになりました。
事件は見事に解決し、グスタヴは富豪となり、ゼロとアガサは結ばれてハッピーエンドを迎えたかに見えます。しかし、物語の本当の核心はここから描かれる時代の非情な現実にあります。
突如として台頭したファシズムの軍靴がズブロフカ共和国を覆う中、列車内でパスポートチェックを行う全体主義の兵士たちに対し、移民であるゼロを守ろうと立ち向かったグスタヴは、その場で銃殺されてしまいます。さらにその後、アガサと幼い我が子も当時流行した「プロイセン風邪」により命を落とすという痛烈な悲劇が明かされます。
老境に達したゼロが莫大な資産を失いながらも、赤字続きのホテルを手放さなかった理由――それは豪華絢爛な栄華の記憶ではなく、最愛のアガサとグスタヴと共に過ごした一瞬の煌めきを守り続けるためでした。ポップな映像の奥に横たわるのは、戦争によって二度と戻らない優雅なヨーロッパ文化(オーストリアの作家シュテファン・ツヴァイクの世界観)への痛切なレクイエムです。