スーパーの米が高い理由は?令和の米騒動の真相と今後の価格見通し

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店頭から一時的にお米が消え去り、全国的な混乱を引き起こした騒動の最中、ネット上やワイドショーで最も激しく議論されたのが「なぜ農林水産省は政府備蓄米を速やかに放出しなかったのか」という疑問でした。約100万トン規模で保管されている備蓄米を市場に流せば、即座に品薄と価格高騰が沈静化するはずだという声は消費者を中心に強く巻き起こりました。

しかし、行政の現場と農業経済の観点から見ると、そこには安易に放出できない明確な制度的・戦略的理由が存在していました。主要な背景は次の3点に集約されます。

1. 備蓄米制度の本来の法的な目的:
政府備蓄米は、食糧法に基づき「10年に1度程度の大凶作(作況指数90未満)」や「連続する不作による深刻な供給途絶」に備えて保管されているものです。当時の状況は、前年産米の在庫が端境期(新米が出る直前)に逼迫したことと、地震警戒情報などに起因する消費者の買いだめが重なった「一時的な流通の目詰まり」と判断されました。大凶作ではない局面で価格抑制のために備蓄米を放出することは、法律の趣旨から逸脱するという法制上の制約がありました。

2. 新米相場と生産農家への壊滅的打撃の回避:
備蓄米を大量に安値で市場へ放出すれば、直後に収穫を控えていた新米の取引価格が暴落するリスクがありました。長年にわたる米価低迷と資材高騰で赤字に苦しんでいた全国の米農家に対し、収穫直前に市場を冷やす政策を打てば、営農意欲を完全に奪い、離農者が雪崩を打って増加する恐れがあったためです。

3. 流通現場における精米・配送キャパシティの限界:
備蓄米はすべて玄米の状態で低温倉庫に保管されており、仮に放出を決定しても、精米工場の手配、米袋の印刷・調達、物流トラックの確保までに数週間から1か月以上のタイムラグが発生します。当時逼迫していたのは「物流と精米の処理速度」であり、玄米を倉庫から出すだけでは即座に店頭の棚を満たすことは不可能だったというのが流通現場の実態でした。

中村 さくら

中村 さくら

マネー&キャリアエディター

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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