健康診断の便検査で陽性が出たら?痔との違いや放置の危険性を徹底解剖
健康診断の便検査で陽性が出たら?痔との違いや放置の危険性を徹底解剖に関する疑問や疑問点を初心者にも親しみやすくまとめました。詳細を読もうことができます。
健康診断の便検査で「要精密検査」の判定が下された際、最も大切なのは過度なパニックに陥らず、かつ軽視もしない冷静な現状把握です。そもそも健康診断で行われる検便は、飲食関連事業者が受ける「腸内細菌検査(赤痢菌やサルモネラ菌、O-157などの感染症チェック)」とは根本的に目的が異なります。健康診断の検便は「便潜血検査(免疫法)」と呼ばれ、便の中に微量のヒトヘモグロビン(赤血球の成分)が混入していないかを検出する大腸がんスクリーニング検査です。
では、なぜ便に血が混じり、陽性反応が出てしまうのでしょうか。便潜血検査陽性の理由として臨床現場で確認される主な原因は、以下の通り多岐にわたります。
まず代表的な要因が、大腸ポリープや大腸がんです。腸の内腔に生じた病変組織は血管が豊富で組織が脆いため、硬い便が通過する際の摩擦によって容易に出血を起こします。次に頻度として高いのが、痔核(いぼ痔)や裂肛(切れ痔)といった肛門周辺の疾患です。さらに、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患、大腸憩室からの出血、感染性腸炎などでも陽性を示します。
気になる「便潜血陽性で大腸がんが見つかる確率」ですが、国立がん研究センターや日本消化器がん検診学会の集積データによると、便潜血検査で陽性となった人のうち、実際に浸潤性大腸がんが確定診断される割合は概ね3〜5%前後です。「100人陽性者がいれば、95人前後はがんではない」という数値を見て胸を撫で下ろす方もいるかもしれません。しかし、見過ごしてはならない決定的な事実があります。放置すれば将来的にがん化する可能性が極めて高い「前がん病変(良性の大腸腺腫ポリープ)」が、約30〜40%の陽性者に見つかるという点です。
つまり、陽性判定を受けた方の4割前後は、腸内に「出血源となる具体的な病巣」を抱えています。精密検査は「がんを宣告されるための場」ではなく、「将来がんになるはずだった病変を未然に切除し、命を確実に守るための絶好の好機」と捉えるのが、医療統計が示す紛れもない現実です。