「コーラで歯が溶ける」は嘘?歯科医師が明かす酸蝕歯の真実
「コーラで歯が溶ける」は嘘?歯科医師が明かす酸蝕歯の真実とはどのようなものなのか? 背景や要点を整理してお届けします。
都市伝説の誇張された部分を否定したとしても、すべてを安全とみなすのは早計です。歯科医師が警鐘を鳴らす最大の焦点は、酸性物質によって歯が化学的に溶かされる「酸蝕歯(さんしょくし)」の存在にあります。
人間の歯の最外層を覆うエナメル質は、人体の中で最も硬い組織ですが、酸には非常に弱いという弱点を持っています。口腔内のpH値(水素イオン濃度指数)が「エナメル質脱灰の臨界値」とされるpH5.5を下回ると、歯の主成分であるハイドロキシアパタイトからカルシウムやリンが溶け出す「脱灰(だっかい)」が始まります。一般的なコーラのpH値は約2.2〜2.5と極めて強い酸性を示しており、胃酸(pH1.0〜2.0)やレモン果汁に匹敵するレベルです。
多くの人が混同しやすい「虫歯と酸蝕歯の違い」について、歯科医療の現場では次のように整理されています。
虫歯は、ミュータンス菌などの細菌が糖分を分解して酸を作り出し、局所的に歯を侵食していく細菌感染症です。一方で酸蝕歯は、細菌の有無に関わらず、酸性の飲食物や胃液などが直接歯に触れ続けることで、歯の広範囲が平たく摩耗・溶解していく非細菌性の疾患です。日常的にコーラなどの強酸性飲料に歯を晒し続ければ、確実にエナメル質が薄くなり、冷たいものがしみる知覚過敏や、歯の先端が透けて黄ばんだ象牙質が露出するリスクが高まります。