縄文人の平均寿命は15歳?「30歳短命説」を覆す人骨調査の全真相
縄文人の平均寿命は15歳?「30歳短命説」を覆す人骨調査の全真相の真相や最新動向に迫る! 専門的な視点でご紹介しています。
現代のような近代医学も抗生物質も存在しなかった縄文時代において、人々を死に至らしめた決定的な要因は何だったのでしょうか。古人骨の病理学的分析からは、豊かな自然の恵みの裏に潜む過酷な生存競争が浮かび上がってきます。
1. 致命傷となった齲歯(虫歯)と歯周病から広がる全身感染症
「縄文人は木の実や肉を食べていたから虫歯がなかった」というのは完全な誤信です。出土人骨を検証すると、縄文人の虫歯保有率は約8%〜15%に達し、当時の食生活が極めて炭水化物(ドングリ、トチノキ、クリなどの堅果類)に依存していたことが証明されています。堅果類を石皿ですり潰す過程で混入する微細な砂粒は、歯の表面のエナメル質を激しく削り落としました。削れた歯から細菌が侵入して歯髄炎を起こし、顎骨の骨髄炎や敗血症へと悪化して命を落とすケースが頻発していたのです。
2. 狩猟・採集に伴う激しい外傷と感染
縄文人はイノシシやシカを追う優れた狩猟民でしたが、危険な野生動物との接触や急峻な地形での活動は常に骨折や滑落の危険と隣り合わせでした。抗生物質のない時代、骨折に伴う開放創や動物の牙による裂傷は、破傷風をはじめとする細菌感染症を即座に引き起こし、成人の命を容易に奪いました。
3. 寿命の男女差と20代女性を直撃した出産リスク
縄文時代の人骨調査における顕著な特徴の一つが、死亡年齢のピークに見られる男女差です。男性が30代から40代にかけてなだらかに死亡していくのに対し、女性は20代前半から中盤にかけて極端な死亡の山が存在します。これは帝王切開や消毒概念の存在しない原初社会において、難産や産褥熱(さんじょくねつ)が若い女性にとって死刑宣告に等しかった現実を物語っています。命懸けの出産を複数回乗り越えた女性だけが、40代以降の熟年期へと到達することができたのです。