腕がくっつく「猿手」とは?原因と見分け方・神経麻痺との違いを徹底解剖

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「腕を伸ばすと肘同士がくっついてしまう」状態を巡っては、ネット上やフィットネスの現場で数多くの混同が生じている。取材を進めると、この言葉には「骨格・関節の過伸展(いわゆる猿腕)」と「神経障害による手の変形(医学的猿手)」という、全く別の2つの意味が同居している実態が浮き彫りになる。

一般的に広く話題となるのは前者だ。解剖学的に肘関節は、伸ばした際に真っ直ぐ(180度)で止まるのが標準的である。しかし関節包や靭帯が柔軟な体質の場合、関節が逆側へと反り返る肘の過伸展(ハイパーエクステンション)が生じる。さらに、上腕骨と前腕骨が形成する角度(運搬角:キャリングアングル)が通常よりも内側に深く切れ込んでいることで、左右の手のひらを上にして並べた際、前腕よりも先に左右の肘の内側が接触する。これが巷で言われる猿手の骨格的メカニズムである。

対して、臨床医学における「猿手」はまったく異なる。手首の内側を通る正中神経が圧迫や外傷で麻痺を起こすと、親指の付け根にあるふくらみ(母指球筋萎縮)が著しく進行する。親指を他の指と向かい合わせる「対立運動」ができなくなり、親指が人差し指と同じ平面に並んでしまう。この平坦化した手の形が霊長類の手に酷似していることから、医学の世界で「猿手(Ape hand deformity)」と命名された経緯がある。

自身の肘がくっつく現象に不安を覚えた際は、まずそれが「関節の可動域によるもの」なのか、それとも「親指が動かせず筋肉が痩せていく神経疾患」なのかを冷静に峻別しなければならない。

佐々木 一輝

佐々木 一輝

ビジネス戦略アナリスト

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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