トトロ「とうもころし」の真実|メイの言い間違いに宿る愛と宮崎駿の演出

トトロ「とうもころし」の真実|メイの言い間違いに宿る愛と宮崎駿の演出に関する深掘り記事を分かりやすく解説します。最新情報を求める方は必見です。

『となりのトトロ』劇中において、メイが「トウモロコシ」を「とうもころし」と発音する場面は、観客の頬を自然と緩ませる屈指の名シーンです。しかし、宮崎駿監督の演出意図を探ると、これが単なる思いつきの可愛いセリフではないことが分かります。当時の絵コンテや制作メモ、公式出版物『ロマンアルバム エクストラ となりのトトロ』(徳間書店)などの記録を振り返ると、宮崎監督はアニメーションにおける「大人が頭で考えた都合のいい子ども」を徹底的に排除しようとしていました。

現実の4歳児は、知的好奇心と感情が爆発的に発達する一方で、構音器官(舌や唇、軟口蓋)の運動機能が未発達です。そのため、複雑な音の並びを正しく発音できず、前後の音を入れ替えてしまう言語現象が頻繁に起こります。音声言語学において「音位転換(メタセシス)」と呼ばれるこの現象を、宮崎監督は自身の身近な子どもの観察や実体験から鋭くすくい上げ、劇中に落とし込みました。

作中でメイが見せる言い間違いは「とうもころし」だけではありません。物語の前半では「オタマジャクシ」を「おじゃまたくし」と呼び、引越し先の古い洋館を「お化け屋敷」ではなく「おばけやしき……ボロ!」と叫ぶなど、4歳という年齢ならではの知覚と認知の限界が生々しく描かれています。「おじゃまたくし」で観客にメイの認知特性を提示しておき、クライマックスの動機となる「とうもころし」で感情を一気に高める計算された伏線回収が見事です。

高橋 健太

高橋 健太

ライフスタイル編集者

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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