ジブリ名作On Your Mark完全解説|封印の真相と裏設定

ジブリ名作On Your Mark完全解説|封印の真相と裏設定の見逃せないポイントをわかりやすく整理しました。

本作最大の特徴であり、多くの考察を生み出しているのが「時間の巻き戻し(ループ構造)」です。作中では、警官2人が少女を救出しようとするプロセスが3回にわたって異なる展開を見せます。

ループ段階展開と結末作劇上の意味合い編集部の分析・解釈第1ループ少女を保護するも研究機関に奪われ、救出できず終わる現実的な無力感と後悔の提示体制に従うだけの日常に対する違和感の発露第2ループ研究施設を急襲・脱出するが、追撃で装甲車ごと橋から落下行動を起こしたことによる破滅と挫折理想を追う代償の過酷さを表す劇的な死のイメージ第3ループ(完結)落下の瞬間にロケットブースターが点火、地上へ突破成功諦めない意志による現実の超克「何度失敗してもやり直す」という人間の尊厳の獲得

ラストシーンにおいて、2人は黄色の旧型アルファロメオ(ジュリエッタ・スパイダー)を駆り、防護マスクを外して汚染された地上世界を疾走します。そして少女の手を取り、彼女を澄み切った青空へと放ちます。少女は力強く羽ばたき、2人を見下ろしながら彼方へと飛び去っていきます。

この結末は一見すると爽快なハッピーエンドに見えますが、極めてシビアな現実を内包しています。2人がいる場所は高濃度の放射線が漂う危険地帯であり、彼らは人間である以上、そこに留まり続ければ命の保証はありません。車を停めて少女を見送った2人は、自らも空を飛べるわけではなく、重力と汚染に縛られた地上に残されます。宮崎監督がタイトル『On Your Mark(位置について)』に込めたのは、「状況がどれほど絶望的であっても、僕らはここからもう一度スタートを切るしかない」という、過酷な現実を引き受けて生きる覚悟そのものだったのです。

池田 達也

池田 達也

マネー&キャリアエディター

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest