最終仕入原価法とは?なぜ法定評価なのか、計算手順や税務リスクを解説
最終仕入原価法とは?なぜ法定評価なのか、計算手順や税務リスクを解説とはどんな影響があるのか? 背景や要点を簡潔に解説します。
実際に決算処理を行う際、計算がどのように進み、財務諸表にどう影響を与えるのかを具体的な数字で検証します。棚卸資産の計算は、最終的に売上原価の算出を通じて会社の最終利益を直撃します。
具体的な取引データに基づく試算シナリオ
あるセレクトショップにおける同一型番商品の年間仕入および販売履歴をモデルケースとします。
- 期首在庫:10個(前期末の評価単価:1,000円)= 10,000円
- 第1回仕入(4月):20個 @ 1,100円 = 22,000円
- 第2回仕入(8月):30個 @ 1,300円 = 39,000円
- 第3回仕入(11月):40個 @ 1,600円 = 64,000円(※期末直前の最終仕入)
- 年間販売数量:75個
- 期末の実地棚卸数量:25個
期末棚卸高の計算ステップ
最終仕入原価法では、期中にどれほど仕入れ価格が乱高下していようとも、見るべき数値は「11月に仕入れた最終単価:1,600円」のみです。過去の仕入単価の加重平均を求める必要はありません。
期末棚卸高 = 25個 × 1,600円 = 40,000円
この結果をもとに、基本算式「売上原価 = 期首棚卸高 + 当期仕入高 - 期末棚卸高」に当てはめて売上原価を導き出します。
- 当期仕入合計:22,000円 + 39,000円 + 64,000円 = 125,000円
- 売上原価 = 10,000円(期首) + 125,000円(当期仕入) - 40,000円(期末) = 95,000円
決算時の仕訳処理実務
会計ソフトに入力する一般的な「三分法」による計算例と仕訳は次の通りです。期首の在庫を売上原価へ振り替え、期末の実地棚卸額を資産へ計上する定石のプロセスを踏みます。
(1)期首在庫の振替
(借方)仕入(売上原価) 10,000円 / (貸方)繰越商品 10,000円
(2)期末在庫の計上
(借方)繰越商品 40,000円 / (貸方)仕入(売上原価) 40,000円
期末棚卸高が大きくなればなるほど、仕入高から控除される金額が増加するため、損益計算書上の売上原価は圧縮されます。結果として売上総利益(粗利)が押し上げられ、課税所得が増加する仕組みです。