富本銭と和同開珎、日本最古の貨幣論争で教科書が変わった衝撃の真相

富本銭と和同開珎、日本最古の貨幣論争で教科書が変わった衝撃の真相の注目ポイントを丁寧に掘り下げてご紹介します。

文字や教科書の枠組みを飛び越え、現物の前に立ったとき、古代の息づかいはより鮮明になります。富本銭が鋳造された奈良県明日香村の「飛鳥池工房遺跡」は、現在、万葉文化館の敷地内などに保存・整備され、往時の熱気を伝えています。

発掘当時の調査記録によると、飛鳥池遺跡は単なるコイン工場ではありませんでした。金・銀・銅・鉄の金属加工、ガラス玉の製造、漆器の製作など、当時の最先端ハイテク技術が集約された「国立総合技術研究所」とも呼ぶべき巨大コンプレックスだったのです。炉の炎が夜通し燃え盛り、渡来系技術者たちの怒号や槌音が響く中、国家の威信を賭けて富本銭が次々と型から外されていく光景が、地層の微細な炭化層から復元されています。

現在、富本銭の実物は奈良文化財研究所の飛鳥資料館や、日本銀行金融研究所の貨幣博物館(東京都中央区)、桜井市立埋蔵文化財センターなどで一般公開されています。実物を間近に観察すると、和同開珎に比べて肉厚で、七星文の細かな突起が立体的に浮き出ていることが見て取れます。千数百年の歳月を経た緑青(ろくしょう)の奥底には、未熟な国家が世界の列強に伍しようと背伸びをした、凄まじいまでの野心が今なお宿っています。

松本 悠斗

松本 悠斗

サステナビリティ研究家

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest