重ね煮の順番で味が激変?陰陽の法則と科学が明かす失敗ゼロの黄金律
重ね煮の順番で味が激変?陰陽の法則と科学が明かす失敗ゼロの黄金律についての最新情報をご紹介します。
重ね煮を語る上で欠かせないのが、東洋哲学における「陰陽(いんよう)の調和」という概念です。この技法は、自然医学運動の先駆者である小川法慶(おがわほうけい)氏が確立した「陰陽調和の重ね煮」に端を発します。小川氏が提唱した理論を、料理人の船越康弘氏(自然食宿「百姓屋敷わら」代表)らが一般家庭でも手軽に再現できるよう昇華させ、全国的な広がりを見せました。
船越氏は著書や各地での講演において、「野菜にはそれぞれ固有の生きてきたエネルギーの方向がある」と述べています。空に向かって芽を伸ばす植物は拡散・冷却のエネルギー(陰性)を持ち、地中深くに根を伸ばす植物は凝縮・温熱のエネルギー(陽性)を蓄えています。
重ね煮において「陰性の野菜を鍋の底」「陽性の野菜を鍋の天面」に配置する理由は、このエネルギーのベクトルを鍋の中で衝突・融合させるためです。
- 底(陰性:きのこ・海藻・葉物など):上方へと拡散しようとする力を持つため、熱が加わると上に向かって蒸気とともに立ち上ろうとします。
- 天面(陽性:人参・ごぼう・れんこんなど):下方へと凝縮・沈降しようとする力を持つため、上層から鍋底に向かってエネルギーと重みが降りていきます。
この2つの力が鍋の密閉空間の中で互いに行き交うことによって、人工的にかき混ぜる必要のない「調和」が生まれます。鍋の内部がひとつの調和した小宇宙となり、野菜の尖ったアクや苦みが消え去り、驚くべきまろやかさと甘みが引き出されるというのが、食養生が説く基本原則です。