米津玄師のイラストがプロ級と唸る理由|画力と画材の秘密を解剖

米津玄師のイラストがプロ級と唸る理由|画力と画材の秘密を解剖の見逃せないポイントを一挙に解説しました。

米津玄師のイラストレーションを特徴づける最大のテーマは、「異形のもの」「怪物」「アウトサイダー」への切実な眼差しです。その象徴的結晶といえるのが、雑誌『ROCKIN'ON JAPAN』での連載を書籍化した『かいじゅうずかん』です。

この画集に登場する怪獣たちは、決して人間を威嚇して破壊の限りを尽くす恐ろしい怪獣ではありません。身体の一部が欠損していたり、余計な器官が生えていたりと、どこか不器用で、孤独で、社会の枠組みからはみ出してしまった存在として描かれています。米津はかつて「自分自身が他者とうまくコミュニケーションを取れず、まるで自分だけが怪獣であるかのように感じていた」と語っています。彼にとって怪獣を描く行為は、自身の内面にある違和感や居場所のなさを肯定するための神聖な儀式にほかなりません。

この「異形への愛」は、社会現象となったTVアニメ『チェンソーマン』の主題歌「KICK BACK」のジャケットイラストにも見事に結実しました。頭部からチェンソーの刃を生やし、返り血を浴びながら暴走するデンジの姿を、米津は荒々しい筆致と生々しい筋肉の陰影で描き切りました。既成のヒーロー像を覆すダークで過激なキャラクター性に自己の表現論を重ね合わせたこの一枚は、原作者の藤本タツキファンからも「作品の持つ乾いた狂気と痛みが完璧に具現化されている」と熱狂的な賛辞を浴びました。

橋本 菜々子

橋本 菜々子

トレンドリサーチャー

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest