井上陽水「いっそセレナーデ」誕生秘話と歌詞の真相!Cm伝説を追う
話題沸騰中の 井上陽水「いっそセレナーデ」誕生秘話と歌詞の真相!Cm伝説を追うについて、多角的な視点を分かりやすく掲載しています。
ウェブ上の検索動向やSNSのコミュニティを見ていると、この楽曲に関して極めて多くのユーザーが抱えている典型的な誤解が存在します。それが「サントリーオールドのCMソング」および「恋は遠い日の花火ではない」という名キャッチコピーとの混同です。
結論からファクトを整理すると、両者は年代も商品ブランドも全く異なる別個の広告キャンペーンです。
「いっそセレナーデ」が起用されたのは1984年の「サントリー角瓶」であり、CMには井上陽水本人が登場していました。一方、「恋は遠い日の花火ではない」というコピーが使われたのは、10年後の1994年から放映された「サントリーオールド」のシリーズです。こちらはコピーライターの西村佳也子氏が手掛け、長塚京三と田中裕子が出演して「課長と部下」の微妙な大人の距離感を描いて大ヒットしたCMであり、音楽には小林亜星作曲の「夜がくる」をマーク・ゴールデンバーグらがアレンジしたインストゥルメンタルが使用されていました。
それにもかかわらず、なぜこれほど多くの人が「いっそセレナーデ=恋は遠い日の花火ではない=オールド」と記憶の中で結びつけてしまうのでしょうか。広告史の観点から分析すると、サントリーが長年培ってきた「ウイスキー×夜のバーカウンター×叶わぬ恋の切なさ」という共通の記号(セミオティクス)が、昭和から平成の記憶の中で一体化して定着したためと考えられます。「遠い思い出」「大人の哀愁」というテーマ性が完全に合致していたからこそ生じた、美しい記憶のすり替わりと言えます。