心電図の異常波形一覧!健診の危険サインと放置厳禁の重症度判定
心電図の異常波形一覧!健診の危険サインと放置厳禁の重症度判定に関する深掘り解説を詳しく解説いたします。
健診結果で最も警戒すべき異常の一つが、ST部分の偏位です。なぜ虚血性心疾患心電図変化においてSTが上がったり下がったりするのか、その背景には心筋細胞の生化学的・電気的破綻が存在します。
心臓を養う冠動脈が動脈硬化や血栓で狭窄・閉塞すると、心筋に酸素と栄養が届かなくなります。虚血に陥った心筋細胞は細胞膜の「ナトリウム-カリウムポンプ」が機能不全に陥り、正常な電位差を維持できなくなります。この傷害電流(Injury Current)が体表面の電極に記録されることで、ST部分の歪みとして現れます。
- ST上昇の理由:冠動脈が完全に閉塞し、心筋の壁全体が壊死に向かう「貫壁性(かんぺきせい)心筋虚血」で発生します。健常部と壊死部の間に強烈な電位差が生じ、心電図の波形がベースラインから大きく持ち上がります。これが急性心筋梗塞(STEMI)の典型像です。
- ST低下の理由:血管の内腔が狭くなり、心筋の内側(心内膜下層)だけが酸素不足に陥る「心内膜下虚血」で現れます。労作性狭心症などで運動時に心筋の酸素需要が増大した際、水平型(Horizontal)や右下がり型(Downsloping)のST低下が顕著に記録されます。
なお、健常な若年男性などに見られる「早期再分極パターン(良性ST上昇)」と病的なST上昇との鑑別は極めて重要です。激しい胸痛、冷や汗、左肩や下顎への放散痛を伴うST変化は、1分1秒を争う循環器救急の絶対的サインです。