くすの木を庭に植えてはいけない?巨木が秘める真相と驚異の力を追う
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庭木としての管理が難しい一方で、クスノキが人類にもたらしてきた恩恵は計り知れません。その最たるものが、幹や葉を水蒸気蒸留して得られる結晶「樟脳(カンフル)」です。
樟脳は清涼感のある独特の芳香を持ち、天然の防虫剤や防腐剤として古くから重用されてきました。医薬品分野では血行促進や鎮痛、気道粘膜を刺激する外用薬の成分として活用され、かつては心臓マヒの蘇生薬(カンフル注射)の代名詞として社会に広く認知されました。また、樟脳は初期のプラスチックであるセルロイドの可塑剤としても不可欠であり、明治から大正期にかけて日本が世界市場を独占した重要な輸出品でもありました。
木材としてのクスノキも唯一無二の個性を放っています。材質はやや軽軟で加工性に優れ、磨き上げることで美しい絹のような光沢が生まれます。樟脳成分を内部に含むため耐腐食性・防虫性が極めて高く、古くは古代の丸木舟や寺社建築の梁、タンスなどの高級家具材として珍重されてきました。乾燥時に狂いや反りが出やすい難点はあるものの、現代でも一枚板のカウンターテーブルや彫刻材として高い市場価値を維持しています。