しっぽを振る=喜びは大誤解?最新科学で暴く犬の豆知識と行動心理の真相
しっぽを振る=喜びは大誤解?最新科学で暴く犬の豆知識と行動心理の真相について押さえておきたい 事実を分かりやすい構成で解説いたします。
愛犬が昼間からぐったりと眠り続けている姿を見て心配する飼い主は少なくありません。しかし成犬の平均睡眠時間は1日あたり12〜15時間、子犬やシニア犬に至っては18時間以上に達するのが生理学的に正常な姿です。これほど長時間の睡眠を必要とする最大の理由は、睡眠サイクルの大半が浅い眠りである「レム睡眠」で占められている点にあります。野生下で外敵の急襲に備えていた狩猟動物の名残で、体は休めつつも脳は覚醒に近い警戒モードを維持しているため、熟睡できるノンレム睡眠の割合は全体の約20%前後に過ぎません。
犬の直系の祖先は約3万3000年前に枝分かれしたハイイロオオカミとされていますが、人間と生活を共にする進化の過程で、遺伝子レベルの劇的な変異を遂げました。スウェーデンのウプサラ大学らによるゲノム解析では、犬はオオカミに比べて炭水化物を分解するアミラーゼ遺伝子(AMY2B)のコピー数が最大数倍から数十倍に増大していることが判明しています。人間の残飯や農作物を効率よく消化吸収できるように適応した結果です。
さらに形態学的な決定打が「顔の筋肉」の進化です。オオカミには存在しない内側眼瞼挙筋と呼ばれる表情筋を犬だけが獲得しており、これによって眉の内側を引き上げ、瞳を大きく見せる、いわゆる「子犬のような上目遣い」が可能になりました。人間がこの眼差しを受けると、親が我が子を見つめる際と同様に絆ホルモン「オキシトシン」が分泌されることが麻布大学らの研究で実証されており、犬は意図的に人間の保護欲を刺激する共生戦略を確立した稀有な生物といえます。