八寸とは?前菜・先付との違いや由来・食べる順番と粋なマナーを解説
八寸とは?前菜・先付との違いや由来・食べる順番と粋なマナーを解説の真相や最新動向に迫る! 専門的な視点で紐解きます。
「八寸が運ばれてくると、美しすぎてどこから箸をつけていいか迷ってしまう」という声は、高級和食店に通い始めたビジネスパーソンや若い世代から多く聞かれます。東京・銀座のミシュラン星付き割烹の店主は、客の所作について次のように語っています。
「八寸はお客様の目を楽しませ、お酒とのマリアージュを楽しんでいただくためのものです。厳格な減点法で採点しているわけではありませんが、淡泊な味から濃い味へと順序立てて召し上がっているお客様を見ると、『料理の流れを理解してくださっているな』と厨房側も嬉しくなるものです」
料理の味を損なわず、同席者や料理人に対しても知的な印象を与える八寸のスマートな食べ方には、押さえておくべき原則があります。
1. 食べる順番のセオリー:「左手前」から時計回りに進める
日本料理の盛り付けは、基本的に「手前・左側」に味が淡泊なもの、「右側・奥側」に味がしっかりしたものや甘味、油気のあるものが配置されるのが定石です。
- 最初(淡味):左手前の酢の物、白身魚の昆布締め、青菜のお浸しなど、舌をリセットする爽やかな小鉢から口にします。
- 中盤(旨味):中央や左右に配された焼き物(海老や小魚)、煮貝、卵焼きなどを、酒と交互に味わいます。
- 後半(濃味・甘味):右奥や奥に置かれた揚げ物、味噌漬け、あるいは甘露煮など、味の主張が強いものを最後にいただきます。
2. 器の扱いと箸遣いのマナー
八寸の盆そのものは「敷き盆」であるため、大皿や盆自体を手で持ち上げて食べるのは重大なマナー違反と見なされます。手で持ち上げてよいのは、盆の上に載せられている小さな小鉢や豆皿のみです。
直に盛られている料理を取る際は、手を受け皿にする「手皿」は避け、取り皿(小皿)が用意されていればそれを用います。取り皿がない場合は、清潔な「懐紙(かいし)」を胸元に添えて受けるのが日本料理における最上の作法です。
また、串刺しにされた料理(銀杏や小魚など)は、箸を使って串を回しながら一口分ずつ外し、串を手前に置いてから箸で口へ運びます。串のまま直接かぶりつくのは、格式ある席では避けるのが賢明です。
3. あしらい(飾り葉や小道具)の残し方
八寸には、ほおずき、笹の葉、椿の葉、小さな器の蓋など、趣向を凝らした飾りが多用されます。これらを外した後は、盆の外やテーブルの上に乱雑に散らかすのではなく、盆の右上やすみかんに美しくまとめて置くのが、食べ終わった後の景色を美しく保つ大人の気配りです。