「危険を冒して」は誤り?犯して・侵してとの違いと正しい使い分け全解説
「危険を冒して」は誤り?犯して・侵してとの違いと正しい使い分け全解説について専門的な視点から解説いたします。専門家の見解をご覧ください。
ネット上のQ&AサイトやSNSで最も議論が白熱し、誤解が定着しているのが「病におかされる」という表現の漢字表記です。「病に冒される」と書くべきか、それとも「病に侵される」と書くべきなのでしょうか。
新聞・出版界と公用文における公的ルール
文化庁が示す『常用漢字表』および新聞協会の用字用語基準において、明確な指針が定められています。
結論から述べると、公用文や現代マスコミ報道では「病に侵される」が統一基準となっています。病原菌や疾患が身体の組織を「徐々に蝕み、テリトリーを奪っていく」という現象は、「侵食」「侵害」と同義の「侵す」に該当するためです。
過去の文学作品や一部の辞書では「重病に冒される」という用例が掲載されていることもありますが、これは「病魔という災難に覆いかぶさられる」という古い比喩表現に基づいています。現代の公式文書、公認校正、入試問題などでは「病に侵される」と表記するのが正解とみなされるため、厳重な注意が必要です。
「神聖をおかす」の漢字はどちらか?
もう一つの盲点が「神聖をおかす」というフレーズです。これには2通りの解釈が存在します。
- 神聖を冒す:「神聖なものを汚す・冒涜(ぼうとく)する」という意味合い。
- 神聖を侵す:「不可侵の権利や領域に踏み込む」という意味合い(例:大日本帝国憲法第3条「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」)。
宗教的・精神的な尊厳を傷つける場合は「冒す」、法規範や聖域としての境界を破る場合は「侵す」が適しています。