医者の不養生はなぜ起きる?言葉の由来と過酷な現場のリアル
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日本語には「専門家が自らの領域を疎かにする」という構図を表す言葉が豊富に存在します。代表的な類語と微妙なニュアンスの違いを比較してみましょう。
筆頭に挙げられるのが「紺屋の白袴(こうやのしろばかま)」です。染物屋が他人の着物を染めるのに忙殺され、自分の袴は白い(染めていない)ままでいる様を指します。他者のために忙しく働くあまり、自分に手が回らないという「業務過多による放置」のニュアンスが強く、医者の不養生とほぼ同義として扱われます。
また、「坊主の不信心(ぼうずのふしんじん)」は、仏の教えを人々に説く僧侶自身が信心深くないことを表します。さらに、学問にばかり打ち込んで実利を伴わず、生活が困窮する様を皮肉った「学者貧乏」という言葉も、専門分野に偏りすぎて足元の現実がおろそかになる同系統の表現と言えるでしょう。
一方で対義語としては、口で言ったことと実際の行動が一致していることを示す「言行一致」や、予防を最優先に位置づける「医者にかかるより我が身を養え」などが該当します。
英語圏にも酷似した格言が存在します。古くから聖書の一節にも由来する表現として、次のような言い回しが有名です。
"Physicians heal not themselves."(医者は自分を治さない)
あるいは、日常的な成句として"A doctor never takes his own medicine."(医者は決して自分の薬を飲まない)という表現も使われます。文化や国境を越えて、専門家が自己管理に失敗する姿は普遍的な関心事であることがうかがえます。