素数とは?なぜ1は含まれないのか|素因数分解の一意性と定義の真相

素数とは?なぜ1は含まれないのか|素因数分解の一意性と定義の真相について見逃せない ポイントを分かりやすく解説いたします。

「1は絶対に素数ではない」と教えられる現代人にとって驚くべき事実ですが、数学の歴史を遡ると、かつて偉大な数学者たち自身が「1を素数」として扱っていた時代が長く存在していました。

古代ギリシャの数学者ユークリッドが著した不朽の名著『原論』において、そもそも「1(モナド・単元)」は「数(複数の単位が集まったもの)」の仲間としてすら見なされておらず、「数の始まり・根源」という別格の存在として扱われていました。つまり、当時は素数どころか自然数の仲間に入れることすら議論の対象外だったのです。

時代が下り、17世紀から19世紀にかけて数学が飛躍的に発展する過程では、名だたる数学者たちが1を素数の一種として記述していました。例えば、ゴールドバッハ予想で知られるクリスティアン・ゴールドバッハが1742年にオイラーへ送った有名な書簡の中では、明らかに1が素数として数えられています。また、19世紀のフランスの数学者アンリ・ルベーグや、アメリカの数論学者デリック・ノーマン・レーマーが1914年に刊行した膨大な『素数表(List of Prime Numbers)』においても、堂々と「1」が最初の素数として掲載されていました。

転換点となったのは、19世紀初頭の数学者カール・フリードリヒ・ガウスによる『数論研究(Disquisitiones Arithmeticae, 1801年)』の登場です。ガウスが素因数分解の一意性を数学の根幹として厳密に体系化したことで、「1を素数に含めると例外処理だらけになり、定理の記述が著しく煩雑になる」という共通認識が学会全体に浸透していきました。そして20世紀前半、世界中の教科書や学術論文において、「1は素数から除外する」という現在の規約が国際標準として完全に確立されたのです。

山崎 陸

山崎 陸

ガジェット&アプライアンスライター

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。

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