なぜ入り鉄砲に出女を監視?幕府崩壊を防ぐ参勤交代の裏と関所の真相
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関所の取り締まりにおいて、男性の旅人と女性の旅人とでは通過難易度に天と地ほどの差が存在しました。一般の庶民男性であれば、身元を証明する「往来手形」さえ所持していれば、比較的スムーズに関所を通過することができました。しかし、女性の通行には想像を絶する高い障壁が立ちはだかりました。
江戸を出る女性が関所を越えるためには、幕閣の最高責任者である老中が発行した「留守居証文」や、藩の責任者が裏書きした特別な「女手形(関所手形)」が必須でした。この手形には、氏名や旅行の目的だけでなく、容姿の特徴が極めて執拗に記載されていたことが当時の公文書から確認されています。
手形に記された項目は、「年齢」「顔の輪郭」「ほくろの位置と数」「傷の有無」「髪型(鬢の結い方)」「身長の目安」「妊娠の有無」、さらには「手足の指の欠損」にまで及びました。影武者や変装による身代わり脱出を完全に封じるためです。
この照合作業を現場で執行したのが、「改め女(人見女)」と呼ばれる専任の女性役人でした。箱根関所などの関所資料館に遺された記録によると、女性の旅人は関所内の「改め所」という小部屋に連れ込まれ、衣服を脱がされた上で全身をくまなく調べられました。髪をほどいて中に密書や毒薬が隠されていないか確認し、手形に「黒子(ほくろ)あり」とあれば服を脱がせて該当部位を凝視する過酷な検査が行われました。
もし手形の記述と実際の身体的特徴にわずかでも食い違いがあれば、即座に身柄を拘束され、裏付けが取れるまで何日も留め置かれました。幕府の役人たちにとっても、万一人質を見逃せば自らの切腹や家名断絶に直結するため、取り調べは極限の緊張感のもとで執行されていたのです。