腫瘍マーカーが高いのに異常なし?偽陽性の真相とがん確率の現実

腫瘍マーカーが高いのに異常なし?偽陽性の真相とがん確率の現実についての最新情報を徹底解説します。

「異常なしと言われても、数値が基準値をオーバーしている以上、どこかに潜んでいるはずだ」と受診者が疑心暗鬼に陥る背景には、腫瘍マーカーという名称に対する根本的な誤解が存在します。日本臨床検査医学会や日本癌治療学会の各種ガイドラインでも示されている通り、大半の腫瘍マーカーは「がん細胞だけが特異的に分泌する毒素」ではありません。正常な細胞や良性疾患の炎症組織でも日常的に産生されているタンパク質や糖鎖、酵素が、血中に漏れ出た量を測定しているに過ぎないのです。

がん細胞が増殖すると、その細胞膜の崩壊や過剰な代謝によって血中に漏れ出るマーカーの絶対量が増加します。しかし、臓器に慢性的な炎症が起きていたり、組織の血流障害や代謝遅延が生じていたりする場合にも、全く同じように血中濃度が上昇します。これが検査における偽陽性(ぎようせい)の原因です。画像診断で異常なしと判定された段階で、少なくとも「現在の高精度CTや内視鏡で捉えられるサイズ(およそ1cm以上、体積にして数億個以上のがん組織)」は体内に存在しないことが客観的に証明されています。

さらに見過ごせないのが、健診スクリーニングにおける腫瘍マーカーが高いときのがん確率の低さです。自覚症状のない無症状の集団を対象とした調査研究では、健診でマーカーが単独高値を示しても、最終的に精密検査で悪性腫瘍が確定する割合はわずか1〜2%未満にとどまるという追跡データが複数報告されています。つまり、数値が基準値を超えていたとしても、約98%以上の人は「がん以外の何らかの理由」で数値が上がっているのが冷徹な統計的真実です。

小林 直樹

小林 直樹

トレンドリサーチャー

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。

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