ストーンヘンジの謎を解剖|誰が何の目的で?最新研究が明かす真相
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ストーンヘンジを訪れた人々を圧倒するのが、立ち並ぶ巨石のスケールです。遺跡は大きく分けて2種類の岩石で構成されています。外側の環状列石やトリリトン(2本の直立石の上に横石を載せた門型構造)を形成する巨大なサールセン石(珪岩)と、内側に配置された比較的小型のブルーストーン(火成岩・砂岩)です。
サールセン石は1個あたり平均20〜30トン、最大のもので約50トンにも達します。この石の産地は、ストーンヘンジから北に約25〜30km離れたマールボロ・ダウンズ(ウェスト・ウッズ)であることが近年の地球化学的分析で特定されました。古代人たちは木製のソリやコロ、頑丈な植物性ロープを使い、数百人から千人規模のチームワークで緩やかな丘陵地帯を引きずって運んだと考えられています。
一方、より深い謎に包まれていたのが、重量2〜4トンのブルーストーンです。地質学的調査により、この石の産地はなんと約220km以上西に離れたウェールズ南西部のプレセリ丘陵であることが判明しています。
金属器や重機が存在しない時代に、なぜこれほど離れた土地から石を運んだのか。そしてどのように運搬したのか。長年「氷河が運んだ」とする自然現象説と「人力で運んだ」とする人為説の間で激しい論争が繰り広げられてきましたが、採石場跡地から新石器時代の加工痕やキャンプ跡が発見されたことで、現在は人力による長距離運搬が確実視されています。
運搬ルートとしては、陸路でブリストル海峡まで運び、そこから筏(いかだ)やボートを用いて海・河川を経由したとする「水運ルート説」と、平坦な地形を選んで陸路のみで牽引したとする「全陸路説」の双方が提唱されています。さらに2024年に『ネイチャー(Nature)』誌等で報告された最新の鉱物分析では、中央に横たわる最重要部材「祭壇石(アルター・ストーン)」が、ウェールズではなく約750km以上北に位置するスコットランド北東部(オークニー諸島周辺)由来である可能性が示され、考古学会に激震が走りました。新石器時代のブリテン島全体に、海運を駆使した広域交易・文化ネットワークが存在していた証拠です。