トロッコ問題の正解を探る:Ai自動運転が下す命の合理的決断
話題沸騰中の トロッコ問題の正解を探る:Ai自動運転が下す命の合理的決断について、多角的な視点をご紹介しています。
被害を最小化する思考の理論的支柱を築いたのは、18世紀の思想家ジェレミ・ベンサムだ。ベンサムが提唱した「最大多数の最大幸福」の原理に従えば、選択肢の正しさはそれが生み出す効用(幸福や生命の保全)から苦痛や損害を差し引いた純利益の多寡によって客観的に測られる。
5人が生存し1人が死亡する状態と、1人が生存し5人が死亡する状態。この2つを天秤にかけたとき、前者の選択がもたらす正味の損害がはるかに小さいことは明白だ。ハーバード大学のマイケル・サンデル教授が白熱教室の講義で学生たちに問いかけた際も、この冷徹な算術と道徳的感情のせめぎ合いが中心的な争点となった。レバーを引く行為に生じる心理的負荷は理解できても、5人の命を救うために1人の犠牲を選択することは、集団全体の損失を最小化する唯一の論理的帰結である。