久留米「鯉ひろまつ」はなぜ愛される?鯉のあらいと名店の真価
久留米「鯉ひろまつ」はなぜ愛される?鯉のあらいと名店の真価とはどのようなものなのか? 詳しい意味を整理してお届けします。
福岡県南部の中核都市・久留米市は、豚骨ラーメンや焼き鳥といった大衆グルメの聖地として全国的な知名度を誇りますが、その足元で脈々と受け継がれてきたもう一つの重要文化が久留米の川魚料理です。なかでも荒木町の緑豊かな一角に店を構える「鯉ひろまつ」は、昭和から平成、そして現在に至るまで、世代を超えた家族のハレの日や接待の舞台として不動の地位を築いてきました。
取材を進めると、長年愛される背景には、単なる味覚の追求を超えた「水と時間に対する徹底的な執着」が存在することが分かります。川魚の特有臭は、生息環境の泥や藻、微生物に起因するジオスミンなどの化合物が主因とされています。「鯉ひろまつ」では敷地内の専用生簀へ筑後川水系の伏流水を引き込み、生きた鯉を数日間から1週間以上絶食状態で泳がせ続けるという厳格な工程を踏んでいます。この清流晒しによって体内の泥を完全に吐き出させ、余分な脂を落としながら身を引き締め、透き通るような白身へと昇華させています。