長谷川式認知症スケールの正しい見方|カットオフ値とMmseの違い
長谷川式認知症スケールの正しい見方|カットオフ値とMmseの違いにまつわる興味深い視点を分かりやすく発信ます。
HDS-Rを語る上で欠かせないのが、開発者である精神科医・長谷川和夫氏の経歴と、彼が晩年に残したメッセージです。
長谷川氏は聖マリアンナ医科大学学長などを歴任し、1974年に「長谷川式簡易知能評価スケール」を公表。1991年に教育年数による偏りを是正した「改訂長谷川式(HDS-R)」を完成させ、日本の老年精神医学を世界水準へと押し上げました。さらに2004年には厚生労働省の検討会で「痴呆」という差別的ニュアンスを含んでいた呼称を「認知症」へ改める主導的役割を果たしました。
医療界に衝撃を与えたのは、長谷川氏が88歳となった2017年、自らが嗜銀顆粒性認知症を発症した事実を公表したことです。NHK特番インタビューや著書『ボクはやっと認知症のことがわかった』の中で、長谷川氏は次のように語っています。
「確証バイアスにとらわれず、患者を一人の人間として見ることの大切さを、当事者になって痛感した。認知症になっても心は生きている。知能検査の点数だけでその人の暮らしや人格を決めつけてはならない」
長谷川氏自身が自ら開発した検査を受け、満点を取れなくなった現実を受け止めながら発信し続けた姿勢は、医療従事者だけでなく介護に関わるすべての家族に「検査の数値の奥にある人間の尊厳」を問いかけています。