漆黒の海になぜ鮮やかな桃色?世界が息を呑んだ謎の深海魚の正体
漆黒の海になぜ鮮やかな桃色?世界が息を呑んだ謎の深海魚の正体とはどのようなものなのか? 専門的な分析を整理してお届けします。
深海を彩るピンクの主役は、優美に泳ぐシンカイクサウオだけではない。水深数百メートルの中深層から漸深層にかけての海底を歩くように暮らす「アカグツ」もまた、一度見たら忘れられないピンクと赤のグラデーションを誇る。
円盤状に平たい体を持ち、全身を硬いトゲで覆ったアカグツは、アンコウの近縁種だ。胸ビレと腹ビレを足のように使って海底の泥の上をもぞもぞと歩き回り、額にある小さな疑似餌(エスカ)を小刻みに動かして獲物をおびき寄せる。そのユーモラスな風貌と愛らしいパステルピンクの体色は、水族館でも屈指の人気を誇る。
水深8000メートルの超深海を浮遊する柔らかなシンカイクサウオと、水深数百メートルの海底を這う堅牢なアカグツ。生息する深度も形態も全く異なる両者が、同じように赤やピンクのトーンを進化の過程で獲得した事実は、深海という特異な環境がいかに生物の適応戦略を規定しているかを物語っている。