ヤマハ音楽振興会の深層|最高裁判決の真実と講師待遇・組織の評判
ヤマハ音楽振興会の深層|最高裁判決の真実と講師待遇・組織の評判に関する深掘り解説を分かりやすく解説いたします。
音楽界のみならず知財法務の専門家からも熱い視線が注がれたのが、通称「ヤマハ音楽振興会 JASRAC訴訟」です。発端は2017年、JASRACが音楽教室のレッスン演奏から著作権使用料を徴収する方針を示したことでした。ヤマハ音楽振興会を含む音楽教育事業者約250社は「音楽教育を守る会」を結成し、著作権の存否確認を求めて集団訴訟に踏み切りました。
争点は、音楽教室で行われる演奏が著作権法22条の定める「公衆に聞かせることを目的とした演奏(演奏権)」に該当するか否かでした。2020年2月の一審・東京地裁は事業者の完全敗訴とし、「講師だけでなく生徒の演奏も教室管理者が主体となって演奏させている」と判断。音楽界に大きな衝撃が走りました。
風向きが変わったのは2021年3月の知財高裁判決、そして2022年10月の最高裁判決の真相です。最高裁判所第1小法廷(菅野博之裁判長)は、知財高裁の判断を支持し、次のような歴史的判断を下しました。
「生徒は技術向上を目的として受講しており、他人に聞かせる意図はなく自らのために演奏している。したがって教室管理者が演奏主体とは評価できない」。この判断により、「生徒の演奏は使用料の徴収対象外、教師の模範演奏等のみが徴収対象」という司法の最終結論が下されたのです。一部報道で「音楽教室側の完全勝訴」と誤解されることもありますが、実態は「生徒の演奏を守り抜き、講師演奏分の支払いに限定させた部分勝訴」が客観的事実です。
最高裁判決を受けて構築されたルールに基づき、各音楽教室は生徒一人あたりの包括契約ではなく、講師の演奏実態に応じた精緻な著作権使用料の算定と納付を行っています。教育現場での表現の自由と権利保護のバランスを規定した先例として、今なお重要な指標となっています。