行雲流水とは?心をととのえる意味・由来と座右の銘に選ばれる理由
行雲流水とは?心をととのえる意味・由来と座右の銘に選ばれる理由とは一体何なのか? 主要なファクトを整理してお届けします。
「行雲流水」の読み方は「こううんりゅうすい」です。文字通り「空を行く雲と、地を流れる水」を指し、何ものにもとらわれず、障害物があれば形を変えて軽やかにすり抜けていく大自然のありさまを表現しています。
広辞苑や大修館書店の漢語辞書などにおける定義を整理すると、本質的な意味は次の2点に集約されます。
1つ目は、「空をゆく雲や流れる水のように、執着することなく自然の成り行きに身を任せて行動すること」。2つ目は、「文章などが作為的でなく、淀みなく極めて自然に展開すること」です。
この言葉の原典は、中国・北宋時代を代表する詩人・文豪である蘇軾(そしょく / 蘇東坡・1037〜1101年)が記した『謝民師に与ふるの書(与謝民師書)』という手紙の一節にあります。
後輩の文人である謝民師から文章の指導を求められた際、蘇軾は次のように書き送りました。
「文章の巧みなるは、行雲流水の如く、初めより定質無く、但だ常に当に行かるべき所に行き、常に当に止まるべからざる所に止まるのみ(文章の真髄とは空をゆく雲や流れる水のようであり、決まった固定の形はない。ただ進むべきところを進み、止まらざるを得ないところで自然に止まるだけである)」
もともとは「技巧や名声に執着せず、内なる感情と理に従って自然に筆を走らせることが最高の名文を生む」という文学論でした。これが後世、仏教(禅宗)の思想や人生論と結びつき、「作為や見栄を捨て、あらゆる執着から解き放たれて生きる」という崇高な人生の境地を表す言葉へと昇華したのです。