代理ミュンヒハウゼン症候群の真相|愛を装い子を病気にする親の心理と兆候

代理ミュンヒハウゼン症候群の真相|愛を装い子を病気にする親の心理と兆候の基本情報から最新動向までを徹底的にカバーしました。

代理ミュンヒハウゼン症候群の恐ろしさを全世界に知らしめた象徴的な事例が、アメリカで起きた「ジプシー・ローズ・ブランチャード事件」です。映画やドラマ(『見せかけの日々』など)のモデルにもなり、刑期を終えて仮釈放されたジプシー氏の証言は、世界中に強烈な衝撃を与え続けています。

母ディー・ディーは、ジプシー氏が生後間もない頃から白血病、筋ジストロフィー、重度の喘息、知的障害などを捏造。不要な抗てんかん薬を大量に投与して歯をボロボロにさせ、不要な唾液腺摘出手術を受けさせ、歩行可能であるにもかかわらず車椅子生活を強制しました。さらに経管栄養チューブを胃に通し、頭髪を剃り落として「不治の病と闘う可憐な少女」を演じさせ続けたのです。公的支援やチャリティ団体からの寄付、有名人との面会を我が物顔で享受していた母に対し、監禁状態から逃れる術を失ったジプシー氏は、交際相手の男性とともに母親を殺害するという凄惨な結末を迎えました。後の特番インタビューや手記において、ジプシー氏は「私は母の愛という名の檻の囚人だった」と述懐しています。

この事件は決して海外の特異な事例ではありません。日本国内の刑事裁判においても、背筋の凍るような事例が複数記録されています。

関西地方で発生した事件では、母親が実の娘に対し、下剤を日常的に混入した食事を与え続け、重度の脱水症状と低ナトリウム血症を引き起こさせました。女児は複数の大学病院へ入退院を繰り返し、一時は生命の危機に瀕しました。母親は病院スタッフの前で熱心に看病メモを取り、涙ながらに原因究明を懇願する一方で、SNS上では「闘病中の娘を支える母」として多数のフォロワーから応援メッセージを集めていたのです。

また、点滴に汚水や唾液を混入させて菌血症を引き起こさせたり、乳幼児に致死量に近い食塩水を飲ませて食塩中毒死に至らしめたりした事件も起きています。法廷の検察側冒頭陳述で浮き彫りになるのは、裁判官や傍聴人を戦慄させる加害母親の「平静さ」です。殴る・蹴るといった典型的な身体的虐待とは異なり、加害者は終始「我が子の病気を治したい一心だった」と主張し、罪悪感の決定的な欠落を示すケースが少なくありません。日本では殺人未遂罪や傷害致死罪、傷害罪で起訴されますが、密室で行われる医療偽装のため、警察や司法が立証に極めて長期間を要する構造的課題が残されています。

山崎 陸

山崎 陸

ガジェット&アプライアンスライター

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。

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