採血が痛くない方法はある?痛みを激減させる科学的裏ワザと現場の真実

採血が痛くない方法はある?痛みを激減させる科学的裏ワザと現場の真実の詳細について、分かりやすい解説を取りまとめてご紹介します。

「どこの血管から血を抜かれるか」によっても、痛みの強度は劇的に変化します。肘の内側には主に3本の静脈が走行しています。それぞれの解剖学的特徴を理解しておくと、自身の血管の個性を把握する目安になります。

穿刺部位血管の太さと特徴痛みの度合いと神経損傷リスク編集部の見解・選択の優先度正中肘静脈
(肘の真ん中)太くまっすぐで、結合組織により固定されており動きにくい。痛み:小
神経や動脈との距離が比較的あり、最も安全とされる。最優先の第一選択。ここに十分な太さの血管があれば痛みを最小限に抑えやすい。橈側皮静脈
(肘の親指側)皮膚表面に浮き出やすいが、皮膚下で血管が横に逃げやすい。痛み:中
前腕外側皮神経が近接しており、稀にしびれを生じることがある。正中肘静脈が細い場合の第二選択。針先が逃げないよう丁寧な固定が必須。尺側皮静脈
(肘の小指側)比較的深い位置を走行しており、皮下脂肪に埋もれやすい。痛み:大
上腕動脈や正中神経・前腕内側皮神経が直下に走るためリスクが高い。ガイドラインでも注意が喚起される部位。安易に深く刺すことは避けるべき選択肢。手背静脈網
(手の甲)血管が見えやすいが非常に細く、壁が薄いため破れやすい。痛み:極大
皮下脂肪が薄く、骨膜や無数の感覚神経が直近にあるため激痛を伴う。肘でどうしても採血できない時の最終手段。翼状針の使用が必須となる。

日本臨床検査標準化協議会が策定する「採血法ガイドライン」においても、第一選択は明確に正中肘静脈と指定されています。一方で、手の甲(手背静脈)は皮膚直下に神経受容器が密集しており、骨に近い構造上、針先が触れた際の痛覚強度が腕に比べて圧倒的に高くなります。「血管が出にくいから」とすぐに手の甲を差し出すのではなく、まずは腕の保温と下垂によって肘の静脈を浮き立たせることが鉄則です。

なお、採血中に指先へ向けて「電気が走るようなピリッとした痺れ」や刺すような激痛が走った場合は、針先が皮神経に接触している神経損傷の兆候です。このしびれ痛みの原因を「採血だから痛いのは我慢しなければ」と放置すると、複合性局所疼痛症候群(CRPS)や長期の神経麻痺につながる恐れがあります。違和感を覚えた瞬間、即座に「痺れています!」「痛いです!」と声を上げ、直ちに抜針してもらわなければなりません。

佐藤 大輔

佐藤 大輔

シニアコンテンツプロデューサー

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。

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