年金は60歳受給が賢い?損益分岐点と繰上げ受給の落とし穴
年金は60歳受給が賢い?損益分岐点と繰上げ受給の落とし穴の具体的な内容に迫る! 専門的な視点で紐解きます。
公的年金(国民年金・厚生年金)を60歳から受け取る繰上げ受給を選択した場合、本来の65歳受給開始と比べて受給額は1ヶ月ごとに0.4%ずつ減額されます。60歳0ヶ月で繰り上げた場合、減額率は最大となる24.0%(0.4%×60ヶ月)に達し、本来受け取れる年金額の76.0%しか支給されません。この減額率は65歳を過ぎても一生涯元に戻ることはありません。
では、何歳まで生きれば65歳から原則通り受給した方が得になるのか。これが世に言われる「損益分岐点」です。計算上、60歳から76%を受け取り始めた場合、65歳時点で「本来受給額の3.8年分(76%×5年)」を先行して手にしています。65歳から満額(100%)を受け取る人と比べると、年間24%分の差が生じます。この先行利得を毎年の差額(24%)で割ると、約15年10ヶ月となります。
すなわち、受給開始から累計額が逆転する損益分岐点は「80歳10ヶ月(約81歳)」です。80歳10ヶ月を迎える前に亡くなった場合は60歳受給の方が総受給額が多くなり、81歳を超えて長生きすれば65歳受給の方が生涯手にする総額は大きくなります。厚生労働省の統計によると、2026年時点における日本人の平均寿命は男性が約81歳、女性が約87歳です。男性にとってはちょうど平均寿命前後、女性にとっては平均寿命を全うした場合に繰上げ受給の累積総額が下回る計算になります。