飛行機のブラックボックスはなぜ黒くない?驚異の耐久性と回収の真相

飛行機のブラックボックスはなぜ黒くない?驚異の耐久性と回収の真相についての疑問解決ガイドをお届けします。

旅客機の機内を見渡しても、客室や操縦席にブラックボックスが露出している場所はありません。FDRとCVRは、いずれも旅客機の最深部である機体後部胴体の天井裏または垂直尾翼付近のギャレー(厨房設備)奥に設置されています。これには航空事故における明確な物理学的根拠が存在します。

航空機事故の大部分は、離陸時または着陸進入時に発生します(航空業界で「魔の11分間」と呼ばれるフェーズです)。墜落や不時着の際、機体は通常、機首から地表や障害物に衝突します。その瞬間、機体の前方部分は衝突の衝撃を真っ先に受け、自らが激しく潰れることで運動エネルギーを吸収する「クランプルゾーン(衝撃吸収部)」の役目を果たすことになります。

物理学的に見れば、前方から後方へと衝撃波が伝播する過程で、構造物の破壊に伴い膨大なエネルギーが消費・減衰していきます。過去数十年におよぶ膨大な航空事故データの統計的分析においても、機首や主翼結合部に比べて、機体尾部(エンペネージ)は最も破損率が低く、原形を留める確率が高いエリアであることが実証されています。もっとも過酷な衝突から可能な限り距離を取り、残骸の中で「生存」する確率を1パーセントでも引き上げるための最適解が、機体最後尾という配置なのです。

山田 真由

山田 真由

自動車・モビリティライター

暮らしを豊かにする便利アイテムや時短アイデアを中心に、実用的な情報をお届けします。

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