首の激痛と微熱は風邪ではない?亜急性甲状腺炎の症状と治療法まとめ

首の激痛と微熱は風邪ではない?亜急性甲状腺炎の症状と治療法まとめに関する基本知識を徹底的にまとめました。今すぐチェックことができます。

亜急性甲状腺炎を発症した患者の多くが、「首の痛みに加えて、心臓がバクバクして手や指が震える」「少し動くだけで息が切れ、鉛のように体が重い」といった強い全身症状に恐怖を覚えます。この亜急性甲状腺炎 動悸と倦怠感が起こる理由は、血液中に甲状腺ホルモンが異常な高濃度で流れ出す「甲状腺中毒症」にあります。

甲状腺は普段、新陳代謝をコントロールするホルモン(FT3、FT4)を作り、濾胞という袋の中に蓄えています。ところが、激しい炎症によってこの袋が物理的に破裂・崩壊すると、内部に貯蔵されていた数カ月分のホルモンが一挙に血液中へ流出してしまいます。その結果、全身の代謝が異常に亢進し、走ってもいないのに脈拍が1分間に100回を超える頻脈、多汗、手の微細な震え、耐え難い倦怠感といった症状が出現するのです。

ここで医療現場において極めて重要になるのが、亜急性甲状腺炎とバセドウ病の違いを迅速に見極めることです。どちらも血液検査では甲状腺ホルモン(FT3、FT4)が高値を示し、下垂体から出る刺激ホルモン(TSH)が測定感度以下まで抑制されます。しかし、その根本原因と治療方針は「180度正反対」です。

項目亜急性甲状腺炎バセドウ病編集部の見解・鑑別のポイント根本の病態機序組織破壊による漏出
(破壊性甲状腺中毒症)自己抗体による過剰産生
(ホルモン合成の暴走)作りすぎているのか、壊れて漏れているのかの違い。首の激痛・圧痛極めて強い(耳や顎へ放散、左右へ移動)原則なし(全体が腫れるが無痛)触診時の飛び上がるような圧痛は亜急性甲状腺炎の決定的特徴。炎症反応(CRP・赤沈)著明な高値
(CRP 5.0〜15.0 mg/dL以上も頻発)正常〜ごく軽微
(CRP 0.3 mg/dL未満が通常)全身の激しい炎症を反映する数値が如実に現れる。TSHレセプター抗体(TRAb)陰性(通常基準値未満)陽性(95%以上で高値検出)自己免疫抗体の有無が明確な分水嶺となる。超音波(エコー)所見病変部に低エコー域(黒い影)、血流は著明に低下全体が腫大、内部の血流が嵐のように著増画像診断で組織内の血流速度を見れば即座に判別可能。基本治療法消炎鎮痛薬・ステロイド
(抗甲状腺薬は絶対禁忌)抗甲状腺薬(メルカゾール等)
またはアイソトープ・手術誤って抗甲状腺薬を投与すると病状悪化を招くため鑑別が必須。

もし亜急性甲状腺炎であるにもかかわらず、血液検査の「FT4高値・TSH抑制」という一面的な結果だけを見てバセドウ病と誤診され、甲状腺ホルモンを作るのをブロックする抗甲状腺薬(メルカゾールやチアマゾール)を投与されると、無意味であるばかりか薬疹や無顆粒球症といった重篤な副作用のリスクに晒される危険があります。専門医による確固たる鑑別が不可欠です。

佐藤 大輔

佐藤 大輔

シニアコンテンツプロデューサー

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest