鎌倉ソングブックカフェの現在地|閉店の噂と絵本が紡ぐ空間の真価

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ソングブックカフェが他の一過性のブックカフェと決定的に一線を画すのは、保育士出身のシンガーソングライター・絵本作家という稀有な経歴を持つ中川ひろたか氏のフィロソフィーが、空間の隅々にまで浸透している点です。中川氏はかつて自著やインタビューの中で「子どもの文化を大人が本気で面白がれる場所を作りたい」という趣旨の告白を残しています。その思想は、店内に整然と並ぶ約数百冊に及ぶ蔵書の選書眼に如実に現れています。

店内の書架には、中川氏の代表作である『ピーマンマン』シリーズや『およぐひと』などのロングセラーはもちろん、国内外の実力派作家による珠玉の絵本がずらりと並びます。特筆すべきは、中川ひろたか氏の直筆サイン本が常時ラインナップされている点です。奥付に描かれた遊び心あふれるイラスト入りのサイン本は、子どもの誕生祝いや大切な人への贈り物として買い求める客が後を絶ちません。また、CDやピンバッジ、ポストカードといったオリジナルグッズも充実しており、作家のプライベートアトリエに招かれたかのような親密な高揚感を味わえます。

BGMとして流れる穏やかなアコースティックサウンドや童謡のジャズアレンジは、耳障りな雑音を遮断し、心地よい集中の波をもたらします。文字を追う子どもたちの真剣な眼差しと、ページをめくりながら幼少期を追想する大人の穏やかな横顔。そこには、商業主義に侵されていない純粋な表現空間が広がっています。

林 結菜

林 結菜

ライフスタイル編集者

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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