尊属殺重罰規定の違憲判決とは?最高裁初の違憲判断と法改正の真相
尊属殺重罰規定の違憲判決とは?最高裁初の違憲判断と法改正の真相についての真相を徹底解説します。
最高裁を歴史的決断へと動かしたのは、あまりにも凄惨かつ不条理な「栃木実父殺し事件」の事実関係でした。
被告人となった女性(事件当時29歳)は、14歳の頃から実父による激しい暴力と性的虐待に晒されていました。実父は被告人を自宅に軟禁状態にし、逆らえば凄惨な暴行を加える生活が十数年にもわたって継続。被告人は父親との間に5人の子どもを産まされるという、言語を絶する地獄の日々を強いられていたのです。
その後、被告人は勤め先で出会った男性と結婚し、家庭を築いて自立することを望みました。しかし、それに激怒した実父は被告人を連れ戻し、無理心中をほのめかしながらさらなる監禁と暴力を重ねました。精神的に完全に追い詰められ、「この父親が生きていては自分も子どもたちも生きていけない」と絶望した被告人は、泥酔した実父の首を紐で絞めて殺害するに至ったのです。
第一審の宇都宮地方裁判所は被告人の過酷な境遇に深く同情し、正当防衛に近い緊急避難的状況を考慮して「刑法200条は違憲」と判断し、執行猶予付きの判決を言い渡しました。しかし、東京高等裁判所は従来の判例を踏襲して尊属殺の規定を合憲とし、懲役3年6月の実刑判決を下します。弁護団は「この規定を適用して実刑に処することは正義に反する」として最高裁へ上告しました。