おしっこが出にくい原因と病気のサイン|受診目安と何科かを解説
おしっこが出にくい原因と病気のサイン|受診目安と何科かを解説の見逃せないポイントを一挙に解説しました。
おしっこが出にくいという訴えは一見共通していても、男性と女性では解剖学的な構造が全く異なるため、疑われる疾患の優先順位は大きく分かれます。
おしっこが出にくい男性において圧倒的な割合を占めるのが前立腺肥大症の症状です。前立腺は膀胱のすぐ下に位置し、尿道を取り囲むように存在する男性特有の臓器です。加齢とともに男性ホルモンバランスの変化などによって前立腺が肥大すると、内側を通る尿道がダイレクトに圧迫されます。その結果、尿が出にくい排尿症状に加え、何度もトイレに行きたくなる頻尿や夜間頻尿、排尿後もスッキリしない頻尿・残尿感といった蓄尿症状がセットで現れます。50代以降の男性の有病率は急速に上昇し、70代以上では過半数が前立腺肥大症を抱えている実態が学会報告でも明らかになっています。
一方、おしっこが出にくい女性の場合、尿道が約3〜4cmと短く直線的であるため、男性のような前立腺による物理的閉塞は起こりません。女性で最も頻繁に見られるのは膀胱炎で尿が出にくいケースです。急性膀胱炎では細菌感染による膀胱粘膜の激しい炎症と排尿時痛が生じます。この強い痛みによって無意識に骨盤底筋群や尿道括約筋が過剰に緊張してしまい、尿を出したくても出口が固く閉じて出にくくなる現象が頻発します。さらに、出産経験や加齢に伴って子宮や膀胱が膣から下垂する「骨盤臓器脱(膀胱瘤)」によって尿道が折れ曲がり、通過障害を起こしている事例も珍しくありません。
加えて、性別を問わず見逃せないのが神経因性膀胱です。脳梗塞、パーキンソン病、脊髄損傷、あるいは長年の糖尿病による末梢神経障害によって、脳から膀胱へ「排尿せよ」という指令が正しく伝わらなくなる病態です。膀胱の筋肉が緩みきって収縮しなくなると、尿意そのものが鈍麻し、膀胱が限界までパンパンに膨らんでいるにもかかわらず自力で排出できなくなります。