カーキとは実は緑ではない?オリーブとの違いや歴史の真相を徹底解剖
カーキとは実は緑ではない?オリーブとの違いや歴史の真相を徹底解剖の疑問点について、分かりやすい解説を基に徹底解説します。
では、なぜ本来は砂色であるはずのカーキが、日本では「深い緑」の代名詞へと変貌を遂げてしまったのでしょうか。その背景には、1960年代から70年代にかけて日本を席巻したアメリカンカジュアル(アメカジ)文化と、輸入ミリタリーウェアの流通事情が深く関係しています。
当時、東京・上野のアメ横などを中心に、米軍のベトナム戦争時のサープラス品(軍放出の放出品)が大量に市場へ出回りました。映画『タクシードライバー』でロバート・デ・ニーロが着用した「M-65フィールドジャケット」や、モッズコートとして知られる「M-51」など、当時の若者たちを熱狂させた軍服の多くは、森林地帯での戦闘を想定した「オリーブドラブ(Olive Drab)」と呼ばれるくすんだ黄緑色でした。
当時、現場の輸入業者やファッション誌の編集者たちは、これら軍服全般のカラーを「ミリタリーの代表色=カーキ」という大雑把な括りで紹介してしまいました。大手セレクトショップに長年勤めるベテランバイヤーは、当時の状況について次のように述懐しています。
「1980年代の渋カジブームやその後の裏原宿ムーブメントの頃、展示会のオーダーシートやカタログ作成の現場では、オリーブドラブもアーミーグリーンもすべて『カーキ』と一括りに表記するのが通例になっていました。現場の販売員もお客様に『今年流行りのカーキのミリタリーJK』と説明していたため、市場全体で『カーキ=ミリタリー=緑色』という認識の固定化が不可逆的に進んでしまったのです」
結果として、日本ではアパレルメーカー各社が緑色の商品を「カーキ」と名付けて販売し続ける構造が数十年にわたって継続し、世界基準の「サンドベージュ系カーキ」と日本独自の「オリーブグリーン系カーキ」という二重構造が完成しました。