ミッフィーはどこの国生まれ?北欧と誤解される理由とオランダ発祥の真相
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ミッフィーの歴史を語る上で避けて通れないのが、日本のサンリオが展開していたキャラクター「キャシー(Kathy)」を巡る国際的法争です。ネット上では長年、単なる「盗作騒動」や「泥沼の著作権争い」として消費されがちですが、その結末には心揺さぶられる人間愛のドラマが存在しました。
事の発端は2010年10月。ミッフィーの著作権を管理するオランダのメルシス社(Mercis)が、ハローキティの同級生キャラクターとして1976年に登場した白うさぎの「キャシー」について、「ミッフィーの輪郭、耳の形状、目と口のプロポーションを模倣しており、著作権および商標権を侵害している」として、アムステルダム地方裁判所に製造・販売の差し止めを求めて提訴したことでした。
同年11月、アムステルダム地裁はメルシス側の主張を認め、オランダ国内およびベネルクス三国におけるキャシー関連商品の即時販売停止を命じる仮処分決定を下しました。サンリオ側は「独自に創作されたものであり、類似性はない」として異議申し立てを行い、法廷闘争は長期化の様相を呈していました。
局面が激変したのは、翌2011年3月11日のことです。未曾有の国難となった東日本大震災が発生しました。
日本の被災地が壊滅的な打撃を受け、多くの子供たちが命を落とし、日常を奪われた光景を目の当たりにしたブルーナ氏とメルシス社、そしてサンリオ創業者の辻信太郎氏は、即座に法廷闘争の中止を決断しました。2011年6月、両社は公式声明を発表し、すべての訴訟を取り下げて全面和解したことを公表したのです。
和解の合意内容には、以下の崇高な決定が含まれていました。
サンリオはキャシーのキャラクター使用を将来にわたって自発的に取り下げ、デザインの重複を解消する。そして両社が法廷闘争を継続するために準備していた巨額の訴訟費用・弁護士費用の残額(計20万ユーロ、当時のレートで約2,300万円)を、全額そのまま東日本大震災の被災児支援義援金として寄付するという合意でした。
「子どもたちの笑顔のために絵本を描き続けてきた」というブルーナの信念と、サンリオが掲げる「Small Gift, Big Smile(みんななかよく)」という企業理念が、法益の衝突を超越して結実した瞬間でした。知財を巡る争いがこれほど美しい人道支援へと昇華された事例は、世界の商標史においても他に類を見ません。