オストワルト法の反応式を完全攻略!丸暗記ゼロの合体式裏技
オストワルト法の反応式を完全攻略!丸暗記ゼロの合体式裏技の要点や背景を専門的かつ分かりやすくまとめました。全体像を一目で把握できます。
オストワルト法の学習で最も多くの受験生がつまずくのが、「3つの反応式を足し合わせて全体の反応式を導く」プロセスです。教科書や一般的な参考書では、中間生成物である一酸化窒素($\text{NO}$)と二酸化窒素($\text{NO}_2$)を消去するために、各反応式を2倍や3倍して連立方程式のように解く手順が紹介されています。
まずは基本となる3段階の反応式を確認します。
① $4\text{NH}_3 + 5\text{O}_2 \rightarrow 4\text{NO} + 6\text{H}_2\text{O}$(白金触媒・約800℃)
② $2\text{NO} + \text{O}_2 \rightarrow 2\text{NO}_2$(常温・酸化)
③ $3\text{NO}_2 + \text{H}_2\text{O} \rightarrow 2\text{HNO}_3 + \text{NO}$(温水に吸収)
通常の手順では、まず②式を3倍し、③式を2倍して辺々を足し合わせ、$\text{NO}_2$を消去します。続いて、残った$\text{NO}$を消去するために①式と組み合わせるという煩雑な計算を強いられます。制限時間の厳しい試験本番でこの連立計算を行うと、係数の転記ミスや足し算の計算ミスを誘発する最大の要因になります。
ここで威力を発揮するのが、「原子の収支に着目した一発導出法」です。オストワルト法の全体像を俯瞰したとき、出発物質はアンモニア($\text{NH}_3$)と酸素($\text{O}_2$)であり、目的の最終生成物は硝酸($\text{HNO}_3$)です。
この変換において、窒素原子($\text{N}$)の行方に注目してください。アンモニア分子に含まれる窒素原子は1個、硝酸分子に含まれる窒素原子も1個です。つまり、「$\text{NH}_3$ 1分子から $\text{HNO}_3$ 1分子ができる」という1対1の絶対原則が成り立ちます。
この基本関係を書き出すだけで、全体の反応式は一瞬で完成します。
1. まず主役を置きます。
$\text{NH}_3 \rightarrow \text{HNO}_3$
2. 水素原子($\text{H}$)の数を両辺で合わせます。左辺に水素が3個あり、右辺の$\text{HNO}_3$には1個しかありません。不足している水素2個を補うため、右辺に水($\text{H}_2\text{O}$)を1分子加えます。
$\text{NH}_3 \rightarrow \text{HNO}_3 + \text{H}_2\text{O}$
3. 最後に酸素原子($\text{O}$)の数を合わせます。右辺には硝酸中の3個と水中の1個で、合計4個の酸素原子が存在します。したがって、左辺には酸素分子($\text{O}_2$)が2個あればぴったり釣り合います。
$\text{NH}_3 + 2\text{O}_2 \rightarrow \text{HNO}_3 + \text{H}_2\text{O}$
わずかこれだけの論理的思考で、全体の合体式が導き出せました。代数計算で紙面を汚す必要も、係数を力任せに記憶する必要もありません。この導出ロジックを身につけるだけで、オストワルト法への恐怖心は完全に解消されます。