午前で完売!元祖長崎堂のバターケーキが愛され続ける本当の理由
午前で完売!元祖長崎堂のバターケーキが愛され続ける本当の理由の全体像を詳しく解説してご紹介します。
原爆の爪痕から復興へとひた走っていた昭和30年代、長崎で本場のカステラ作りを修行した曻川信男(ますかわ のぶお)氏が広島の地で創業したのが「合名会社長崎堂」だ。戦後の製菓・製パン業が急速な近代化と大量生産へと舵を切るなか、創業者には譲れない信念があった。「どこにでもあるものを作っても意味がない。日持ちがして、栄養価が高く、何より唯一無二の旨い菓子を届けたい」という執念だった。
当時、バターは極めて貴重な高級品だった。曻川氏は、伝統的なカステラの配合をベースにしつつ、バターを限界まで練り込むという前代未聞の試行錯誤を繰り返す。油分が多い生地は窯の中で浮きにくく、火加減ひとつでぺしゃんこに潰れてしまう。失敗を重ねた末、黄金色のキメ細やかな生地の中心に、濃厚なバターのコクとしっとりした口溶けを宿す奇跡の配合が完成した。1955年のことである。