突然ペダルが床まで抜ける恐怖!命を託す作動油の真実と交換期
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現代の乗用車が例外なく採用している油圧式ブレーキにおいて、ペダルを踏んだ力が逃げずにブレーキパッドをディスクローターへ押し付けられるのは、液体がほとんど圧縮されない物理的性質を利用しているからに他ならない。この過酷な摩擦熱に晒される現場で選ばれている主成分が、化学合成油の一種であるグリコールエーテル系化合物だ。
シリコン系や鉱物油系と異なり、グリコールエーテルはゴム製シール類を侵食せず、極低温から200度を超える高温域まで安定した粘度を保つ。しかし、決定的な弱点を抱えている。大気中の水分を貪欲に吸い寄せる強烈な「吸湿性」だ。ボンネットを閉め切っていても、ゴムホースの微細な隙間やリザーバータンクのブリーザー孔から湿気は侵食する。1年で約1〜2パーセント、2年で3パーセント前後の水分がフルード内に溶け込んでいく。この目に見えない吸水こそが、命を脅かすカウントダウンの始まりとなる。