マグロが止まると死ぬ理由とは?驚きの呼吸の仕組みと睡眠の真実

マグロが止まると死ぬ理由とは?驚きの呼吸の仕組みと睡眠の真実の詳細について、分かりやすい解説を取りまとめてご紹介します。

タイやコイなど一般的な魚を水槽で観察すると、口をパクパクと開閉させ、同時に側頭部にあるエラ蓋をリズミカルに動かしている光景を目にします。これは「頬腔ポンプ換気法(Buccal pumping)」と呼ばれる呼吸様式です。口腔とエラ蓋を連動させ、口内の容積をリズミカルに変化させることで陰圧と陽圧を作り出し、自力で口から水を吸い込んでエラへと押し流しています。

対照的に、クロマグロをはじめとする外洋性回遊魚はこの自律的なポンプ機能をほぼ完全に放棄しました。マグロが採用しているのは「ラム換気法(Ram ventilation)」と呼ばれる呼吸メカニズムです。わずかに口を開けた状態で前進し続けることにより、前進運動によって生じる動水圧(ラム圧)を利用して、新鮮な海水をエラの中へと強制的に流入させます。

マグロのエラ蓋を動かす筋肉は、進化の過程で著しく縮小・退化しています。遊泳速度を極限まで引き上げるため、頭部周りの筋肉運動によって生じる水流の乱れ(乱流抵抗)を徹底的に排除した結果です。口腔を自力でポンプのように収縮させる構造を捨て去り、魚雷型の完全な流線型ボディを獲得したマグロにとって、「前進し続けること」そのものが呼吸のための唯一の動力源となっています。

橋本 菜々子

橋本 菜々子

トレンドリサーチャー

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

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