マイヤリング事件の真相|ルドルフ皇太子と愛人の死、遺書が暴く真実
マイヤリング事件の真相|ルドルフ皇太子と愛人の死、遺書が暴く真実を徹底追究! 読者が気になる 重要ポイントを凝縮して配信します。
日本においてマイヤリング事件の知名度を飛躍的に高めたのは、クロード・アネの小説をもとに柴田侑宏氏が脚本・演出を手掛けた宝塚歌劇団のミュージカル『うたかたの恋』です。1983年の初演以来、幾度も再演を重ねるこの舞台は、悲劇的な運命に引き裂かれるルドルフとマリーの純愛、そして雪の降るマイヤリングでの崇高な最期を描き、多くの観客の涙を誘ってきました。
名セリフとして知られる「マリー、来週の月曜日に、旅に出よう」という言葉に象徴されるように、フィクション作品におけるうたかたの恋のあらすじと結末は、政略結婚に苦しむ孤高の皇太子と、彼を無償の愛で包み込む汚れなき令嬢の魂の救済として昇華されています。
しかし、冷徹な史実が突きつける実態は、そうしたロマンティシズムとは大きく乖離しています。当時の警察記録によると、ルドルフ皇太子がマイヤリングの数ヶ月前、最初に心中を持ちかけた相手はマリーではなく、長年の愛人であった高級娼婦のミッツィ・カスパールでした。
ミッツィは皇太子の異常な提案を拒絶し、即座にウィーンの警察長官クラウス男爵へ「皇太子殿下が自死を計画している」と通報していました。しかし警察側は、放蕩癖のある皇太子の奇矯な言動として片付け、真剣に取り合わなかったのです。つまり、17歳のマリー・ヴェッツェラは唯一無二の運命の相手として選ばれたのではなく、自暴自棄に陥った皇太子の破滅願望を肯定し、命を捧げてくれる「都合の良い道連れ」として利用された側面を否定できません。