ダイソンはどこの国の会社?イギリス発祥とシンガポール本社の真相

ダイソンはどこの国の会社?イギリス発祥とシンガポール本社の真相の具体的な内容に迫る! 専門的な視点でご紹介しています。

2019年1月、ダイソンが本社機能を英国からシンガポールへ移転すると発表した際、本国英国では激しい議論が巻き起こりました。ジェームズ・ダイソン自身が熱心なEU離脱(ブレグジット)支持派として知られていたため、政治家やメディアから「自国の未来を信じずに逃げ出した」と猛烈な批判を浴びたのです。当時の特番インタビューや公式会見の席上、経営陣は感情論を排し、移転の背景にある3つの純然たる経営的合理性を主張しました。

1. 売上と成長の中心がアジア市場へシフトしたこと

第一の理由は、収益構造の激変です。ダイソンの収益の大半はすでに中国、日本、韓国、東南アジアを含むアジア太平洋地域から生み出されています。市場の成長スピードが最も速いエリアの直近に意思決定権者と研究開発の中核を置くことは、グローバル競争を勝ち抜くための必然でした。

2. 生産拠点との地理的・物理的な統合

ダイソンは2000年代前半にすでに掃除機の組み立て工場を英国内からマレーシアへと完全移転させていました。サプライチェーンと開発現場が数千キロも離れている状態を解消し、設計から試作、量産化までのサイクルを極限まで短縮するため、製造拠点と目と鼻の先にあるシンガポールが選ばれました。

3. 先端技術人材の確保とビジネス環境

シンガポール政府は、AI、ロボティクス、次世代バッテリーなどの高度ハードウェア開発企業に対し、手厚い誘致施策を展開しています。歴史的建造物であるセント・ジェームズ発電所(St James Power Station)の跡地を全面改装して誕生した新本社には、世界各地からトップクラスのソフトウェアおよび電子工学エンジニアが集結しています。税制優遇措置(シンガポールの法人税率は英国よりも競争力が高い)も副次的なメリットとして機能したことは業界関係者の間でも周知の事実です。

井上 凛

井上 凛

シニアコンテンツプロデューサー

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest