伊藤潤二『恐怖の重層』がトラウマを刻む理由|皮を剥ぐ母と衝撃結末の真相

伊藤潤二『恐怖の重層』がトラウマを刻む理由|皮を剥ぐ母と衝撃結末の真相の全体像を詳しく解説してご紹介します。

物語の語り手である姉の成美(なるみ)と、母の寵愛を一身に受けて育った美しい妹の麗実(れいみ)。ある日、家族を乗せた車が悲惨な交通事故に遭い、麗実の顔面が縦に裂ける重傷を負います。しかし、病院に搬送された医師たちが目撃したのは、通常の筋肉や骨ではなく、「外側の顔の内側に、数年前の若い麗実の顔が隙間なく重なっている」という戦慄の光景でした。

調査の結果、この一家の人間は成長するにつれて外側に新たな肉体が生成され、内側には過去の年齢の肉体がそのまま年輪のように残存していることが判明します。外側の顔に傷がついた麗実は絶望しますが、母親は恐ろしい狂気の発想に取り憑かれます。「外側の傷ついた層を剥がせば、かつての美しく素直だった幼い頃の麗実に戻せる」と思い詰めたのです。

母親は深夜、拘束した麗実の成人した皮膚にメスを入れ、タマネギの皮を剥くように外層を剥ぎ取っていきます。一枚剥ぐごとに1歳ずつ若返っていく麗実。しかし、母の歪んだ愛情と執着は止まりません。「もっと可愛い頃に、もっと素直だった2歳の頃に」と剥離を続けた結果、最後に行き着いたのは、肉体の芯を失い、もはや人型を維持できなくなった無残な胎児未満の残骸と、脱ぎ捨てられた無数の生皮の山でした。姉の成美が部屋を開けたとき、狂笑する母親と静まり返った部屋の地獄絵図が広がり、物語は幕を閉じます。

山本 拓海

山本 拓海

ヘルス&ウェルネスアドバイザー

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。

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